
黒沼 電蔵
物理の教鞭をとっている
しょうゆ

波多野さん
勉強が苦手な女の子
ソース

光井くん
勉強が得意な男の子
塩・胡椒
はじめに

前回は、身の回りではたらく力について学んだの。

机の上に置いた物体には、下向きの重力と上向きの垂直抗力がはたらいているんだよね。

垂直抗力は、物体が接している面から垂直に受ける力でした。

うむ。では、なぜ机の上の物体は落ちないのか、もう答えられるじゃろう?

垂直抗力が重力を打ち消しているからかな?

エクセレント!
二つの力を合わせた合力が \(0\) になっているのじゃ。
このように、物体にはたらく複数の力が互いを打ち消しあっている状態を、力がつり合っているという。


今回は、単独の力ではなく、複数の力を合わせた結果に注目するのですね。

その通り。まずは、二つの力がつり合いから見ていこう。
力がつり合うとは

複数の力が一つの物体にはたらいていても、それらの合力が \(0\) になることがある。
この状態を、力がつり合っているというのじゃ。
式では、
\(\boxed{\vec{F}_1+\vec{F}_2+\cdots=\vec{0}}\)
と表せるぞ。

合力が \(0\) ってことは、力がはたらいていないのと同じじゃない?

いい質問じゃ。結果は同じになるが、力がなくなったわけではないぞ。
例えば、机の上の箱には下向きの重力 \(mg\) と、机から受ける上向きの垂直抗力 \(N\) がはたらいてじゃろう。

二つの力はつり合っているから、式で表すと、
\(\boxed{N=mg}\)
となりますね。

互いのはたらきを打ち消しているんだね。
2力のつり合いを見てみよう

では、2力のつり合いを見てみよう。
左向きの力 \(F_1\) と、右向きの力 \(F_2\) を、どちらも \(8\ \mathrm{N}\) に設定して「再生」を押すのじゃ。

全然、動いてない。

左向きに \(8\ \mathrm{N}\)、右向きに \(8\ \mathrm{N}\) の力がはたらいているからじゃ。
力がはたらいていないわけじゃないぞ。

二つの力の大きさが等しく、向きが反対なので、互いに打ち消し合っているのですね。
2力がつり合うための条件

二つの力がつり合うためには、次の三つの条件をすべて満たす必要がある。
- 二つの力の大きさが等しい
- 二つの力の向きが逆である
- 二つの力が同一直線上にはたらく

大きさと向きだけじゃないの?

二つの力の作用線がずれていると、物体を回転させるはたらきが生じることがある。そのため、同一直線上という条件も必要なのじゃ。

式で表すと、
\(\boxed{\vec{F}_1+\vec{F}_2=\vec{0}}\)
大きさだけを比べると、
\(\boxed{F_1=F_2}\)
ですね。
力の大きさが異なる場合

今度は、左向きの力 \(F_1\) を \(5\ \mathrm{N}\)、右向きの力 \(F_2\) を \(10\ \mathrm{N}\) にしてみよう。


物体が右へ動き始めた!

このときの合力は、
\(R=10-5=5\ \mathrm{N}\)
となる。
したがって、物体には右向きに \(5\ \mathrm{N}\) の合力がはたらくのじゃ。

合力の向きは、大きいほうの力と同じ向きになることに注意ですね。

じゃあ、左向きの力を大きくすれば、物体は左へ動くんだね。

うむ。実際にスライダーを動かして確かめてみるとよいぞ。
3力のつり合いを見てみよう

力は、いつも二つだけとは限らない。そこで、三本の糸で一つのリングを引く場合を考えてみよう。
\(F_1\)、\(F_2\)、二つの力の間の角度をスライダーで変えてみるのじゃ。
紫色の \(F_3\) は、三つの力がつり合うように自動で調整されるぞ。

三つの力をすべて合わせた結果が \(0\) になるように、\(F_3\) が変化しているということは、
\(\boxed{\vec{F}_1+\vec{F}_2+\vec{F}_3=\vec{0}}\)
となりますね。

ここで、\(F_1\) と \(F_2\) の合力を \(\vec{R}\) とすると、
\(\vec{R}=\vec{F}_1+\vec{F}_2\)
じゃ。
この合力を打ち消すためには、\(F_3\) が \(\vec{R}\) と同じ大きさで、反対向きにはたらけばよい。つまり、
\(\boxed{\vec{F}_3=-\vec{R}}\)
となるのじゃ。

まず二つの力を合成して、その合力を三つ目の力で打ち消しているんだね。
力の三角形

三つの力を順番につないだ図も表示されていますね。

うむ。三つの力がつり合っているとき、それぞれの向きを変えずにつなぐと、三角形ができるのじゃ。
これを力の三角形という。


そっか!
最後の矢印が出発点に戻っているから、結果として \(0\) になるんだ!

エクセレント!
力の三角形を見ると、
\(\vec{F}_1+\vec{F}_2+\vec{F}_3=\vec{0}\)
という関係を図から確認できるのじゃ。
力のつり合いを調べる手順

でも、どの力がつり合いの関係なのか一目じゃわからないよね?

大丈夫じゃ。
問題で力のつり合いを調べるときは、次の順番で考えるとよい。
① 注目する物体を決める
② 物体にはたらく力をすべて描く
③ 方向ごとに分ける
④ それぞれの方向で合力を0にする
力がつり合っているときは、
\(\sum F_x=0\)
\(\sum F_y=0\)
という関係が成り立つぞ。


力の矢印を全部書いちゃえばいいんだ!

大きさだけでなく、向きにも注意が必要ですね。
今日のまとめ

今日のポイントを整理しておこう。
- 複数の力の合力が \(0\) になる状態を、力がつり合うという
- つり合いは同じ物体にはたらく力どうしで考える
- 力がつり合っていても、それぞれの力がなくなったわけではない
- 2力がつり合うには、大きさが等しく、向きが反対で、同一直線上にはたらく必要がある
- 2力がつり合っているとき、
\(\vec{F}_1+\vec{F}_2=\vec{0}\)
- 3力がつり合っているとき、
\(\vec{F}_1+\vec{F}_2+\vec{F}_3=\vec{0}\)
- つり合っている3力を順番につなぐと、力の三角形が閉じる
次回 ニュートンの運動の第1法則ー慣性の法則

力のつり合いについてよくわかったよ!
物体が動いてるってことは力がつり合ってないってことなんだ!

ふぉっふぉっふぉ。そうとは限らないぞ。
確かに静止している物体なら、そのまま静止し続ける。しかし、すでに動いている物体なら、力がつり合っていても動き続けるぞ。

合力が \(0\) なのに動くの!?

次回は、その仕組みを学ぶのですね。

うむ。次回は、ニュートンの運動の第1法則――慣性の法則を勉強しよう。
実験のために台車を用意したぞ。ほれ、光井くんのってみい。

どうする気ですか?

じゃあ、あたしがのるよ!

え、あ、いや。やっぱ、やめとこうか。
よく考えたら危なそうだし。ケガしたらよくないしね。
光井くん、台車かたしといて。

僕の安全は、検討事項にすら入らないんですね。
