第14回 力の正体③ 身のまわりにはたらく力

第2章 力の正体
黒沼先生
黒沼先生

黒沼 電蔵
物理の教鞭をとっている
人を信じることができない、悲しい生き物

波多野さん
波多野さん

波多野さん
勉強が苦手な女の子
誰に対しても壁を作らない

光井 くん
光井 くん

光井くん
勉強が得意な男の子
対人関係構築力〇

はじめに

黒沼先生
黒沼先生

今日は、身の回りでよく登場する力について見ていくぞ。

波多野さん
波多野さん

よく登場する力?

黒沼先生
黒沼先生

重力、垂直抗力、張力、弾性力、圧力、浮力の6種類じゃ。

波多野さん
波多野さん

一気に6種類も勉強するの?

黒沼先生
黒沼先生

心配しなくともよいぞ。今回は、それぞれの力が「どのようなときに」「どの向きにはたらくのか」をつかめれば十分じゃ。

波多野さん
波多野さん

名前だけ聞くと難しそうだけど、身近なところではたらいている力なんだよね?

黒沼先生
黒沼先生

その通りじゃ。では、光井くんも浮力を感じてみようか。

光井くん
光井くん

いやな予感がするな。

黒沼先生
黒沼先生

ちょっとそこの川で泳いでおいで。ここでみてるから。

光井くん
光井くん

そら、きた。嫌ですよ。

黒沼先生
黒沼先生

重力でもいいよ。ほら、窓開けとくからさ。

光井くん
光井くん

だから、嫌ですよ。

重力

黒沼先生
黒沼先生

というわけで、まずはこれまでにも何度も登場した重力じゃ。
重力とは、地球が物体を引く力のことじゃよ。

波多野さん
波多野さん

手を離したボールが落ちるのは、重力がはたらいているからだね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。地表付近では、重力は鉛直下向きにはたらく。
物体の質量を \(m\)、重力加速度の大きさを \(g\) とすると、重力の大きさ \(W\) は、

\(\boxed{W=mg}\)

と表されるぞ。

光井くん
光井くん

質量が大きい物体ほど、はたらく重力も大きくなるのですね。

黒沼先生
黒沼先生

その通りじゃ。
重力の矢印は、物体の重心を始点として、鉛直下向きに描くのが基本じゃよ。

光井くん
光井くん

重心は、その物体全体の重さが集まっていると考えられる点ですね。

垂直抗力

黒沼先生
黒沼先生

次は、机の上に置かれた物体を考えてみよう。

波多野さん
波多野さん

物体には重力がはたらいているのに、机を突き抜けて落ちていかないね。

黒沼先生
黒沼先生

それは、机が物体を押し返しているからじゃ。
このように、物体が面から垂直に受ける力を垂直抗力という。

光井くん
光井くん

「垂直」というのは、必ず上向きという意味ではなく、接している面に対して垂直という意味ですね。

黒沼先生
黒沼先生

水平な机の上では上向きになるが、斜面では斜面に対して垂直な向きになるぞ。

波多野さん
波多野さん

垂直抗力は、物体が面と触れているから生じる力なんだね。

黒沼先生
黒沼先生

エクセレント!
力の作用点は、物体と面の接触部分に取るのが基本じゃ。

張力

黒沼先生
黒沼先生

続いて、糸につるされた物体を見てみよう。

波多野さん
波多野さん

物体が糸に引っ張られているね。

黒沼先生
黒沼先生

糸やロープが物体を引く力を張力という。
張力の向きは、常に糸に沿った方向じゃ。物体から見ると、糸が物体を引っ張る向きに矢印を描く。

光井くん
光井くん

このとき、物体には下向きの重力と、糸に沿った上向きの張力がはたらいているということですね。

弾性力

黒沼先生
黒沼先生

ばねやゴムを伸ばしたり縮めたりすると、元の形に戻ろうとするじゃろう?
そのときにはたらく力を弾性力という。

波多野さん
波多野さん

右へ引っ張ると、ばねは左へ引き戻そうとするね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。弾性力は変形を元に戻す向きにはたらくのじゃ。
弾性力の大きさ \(F\) は、ばねの伸びや縮み \(x\) に比例する。

\(\boxed{F=kx}\)

ここで、\(k\) はばね定数じゃ。ばねの硬さを表しておる。

光井くん
光井くん

フックの法則ですね。

波多野さん
波多野さん

ばね定数が大きいほど、変形させにくい硬いばねということ?

黒沼先生
黒沼先生

そういうことじゃ。

圧力

黒沼先生
黒沼先生

次は圧力じゃ。
圧力とは、面を垂直に押す力が、単位面積当たりにどれくらいはたらいているかを表す量じゃ。
力の大きさを \(F\)、力を受ける面積を \(S\) とすると、圧力 \(p\) は、

\(\boxed{p=\frac{F}{S}}\)

と表される。

波多野さん
波多野さん

同じ力でも、押す面積が小さいほど圧力が大きくなるんだ。

黒沼先生
黒沼先生

例えば、画びょうの先がとがっているのは、小さな面積に力を集中させて、大きな圧力を生み出すためじゃ。

光井くん
光井くん

水の中でも圧力ははたらきますよね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。水中にある物体は、周囲の水から面に垂直な力を受ける。
そして、水圧は深い場所ほど大きくなるのじゃ。

波多野さん
波多野さん

ほんとだ!
下のほうにある矢印ほど長くなっているね。

光井くん
光井くん

物体の左右だけでなく、上や下からも圧力を受けている点も注意ですね。

浮力

黒沼先生
黒沼先生

水に物体を入れてみたとしよう。そのとき、物体は水から上向きの力を受ける。この力を浮力という。

波多野さん
波多野さん

木や発泡スチロールが水に浮くのは、浮力がはたらくからなんだね。

黒沼先生
黒沼先生

その通りじゃ。
さっきの水圧の話を思い出してみよう。
水中では深い場所ほど圧力が大きいかったの。そのため、物体の下面が受ける上向きの力は、上面が受ける下向きの力より大きくなる。
その差によって、物体全体には上向きの力がはたらくのじゃ。

波多野さん
波多野さん

水に浮いている物体には、上向きの浮力と下向きの重力がはたらいているんだね。

アルキメデスと王冠

黒沼先生
黒沼先生

浮力は、物体が押しのけた液体の重さと同じ大きさになる。これをアルキメデスの原理というぞ。

光井くん
光井くん

金の王冠にまつわる有名な逸話がありますよね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。
シラクサの王ヒエロン2世は、職人に金を渡して王冠を作らせた。しかし、完成した王冠には銀が混ぜられているのではないかという疑いが生じたのじゃ。

光井くん
光井くん

溶かしてしまえば調べられそうですが、それでは王冠が壊れてしまいますね。

黒沼先生
黒沼先生

そこで王は、王冠を壊さずに純金かどうかを調べるよう、アルキメデスに命じたといわれておる。

黒沼先生
黒沼先生

ある日、アルキメデスが浴槽へ入ると、水があふれ出した。
その様子を見て、物体を水に沈めれば、その体積と同じだけ水が押しのけられることに気づいたのじゃ。

波多野さん
波多野さん

形が複雑な王冠でも、水に沈めれば体積を調べられるんだ!

黒沼先生
黒沼先生

その通り。
同じ質量で比べると、金は銀より密度が大きい。そのため、純金の塊は体積が小さく、水を押しのける量も少ない。
一方、王冠に銀が混ぜられていれば同じ質量でも体積が大きくなり、純金より多くの水を押しのけることになる。

\(\text{密度}=\frac{\text{質量}}{\text{体積}}\)

光井くん
光井くん

王冠と同じ質量の純金を用意して、押しのける水の量を比べればよいのですね。

黒沼先生
黒沼先生

そしてここからが重要なのじゃ。
解決方法を思いついたアルキメデスは、あまりに興奮して、服を着ることも忘れて外へ飛び出したといわれておる。

波多野さん
波多野さん

何が重要なの?

黒沼先生
黒沼先生

うむ。
この前、同じことをしたら、通報されたのじゃ…。

波多野さん
波多野さん

え?

光井くん
光井くん

ちょっと、何やってんですか!

黒沼先生
黒沼先生

警察の人にすんごい、おこられちゃった。

※注意)服を着ずに外へ飛び出す行為は、周囲に大きな混乱や戸惑いを与えるだけでなく、法律に抵触する可能性を含んでいます。

力を見分けるには

波多野さん
波多野さん

6種類もあると、どの力がはたらいてるのか迷いそう。

黒沼先生
黒沼先生

そんなときは、物体の周りにあるものを順番に確認するとよい。
まず、地球から受ける重力を考える。
次に、物体と接しているものを探すのじゃ。

  • 面と接している ➡ 垂直抗力
  • 糸につながっている ➡ 張力
  • ばねやゴムにつながっている ➡ 弾性力
  • 液体や気体に触れている ➡ 圧力や浮力
波多野さん
波多野さん

「何が、その物体に力を及ぼしているのか」を考えるのが大事なんだね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。力には必ず、力を及ぼす相手がいる。
そして、矢印を描くときは次の三つも確認するのじゃ。

  • 作用点
  • 力の向き
  • 力の大きさ

今日のまとめ

黒沼先生
黒沼先生

今日登場した力を整理しておこう。

  • 重力:地球が物体を引く力
    \(W=mg\)
    (重力の大きさ: \(W\)、物体の質量: \(m\)、重力加速度: \(g\))
  • 垂直抗力:面が物体を垂直に押し返す力
  • 張力:糸やロープが物体を引く力
  • 弾性力:変形した物体が元の形に戻ろうとする力
    \(F=kx\)
    (弾性力の大きさ: \(F\)、ばね定数: \(k\)、ばねの伸び縮み: \(x\))
  • 圧力:単位面積当たりに面を垂直に押す力
    \(p=\frac{F}{S}\)
    (圧力: \(p\)、力の大きさ: \(F\)、力を受ける面積: \(S\))
  • 浮力:液体や気体から受ける上向きの力
波多野さん
波多野さん

力を見つけたら「何が物体に力を及ぼしているのか」「どの向きにはたらくのか」を考えるのが重要だね!

次回 力のつり合い

黒沼先生
黒沼先生

ねぇ。
2人でわしを同じ力で反対向きに引っ張ってみてよ。
なるべく強めがいいな💕

光井くん
光井くん

なんかやだな。

黒沼先生
黒沼先生

ちがう、ちがう。必要なことだから。ね、ね、おねが~い。

波多野さん
波多野さん

わかった!じゃあ、右向きに引っ張るね!

光井くん
光井くん

僕は左向きですね。

黒沼先生
黒沼先生

ふぁぁぁあぁ。き、きもちぃ…。

波多野さん
波多野さん

二人に引かれているのに、全然動かないね。

光井くん
光井くん

合力が \(0\) になっているようですね。

黒沼先生
黒沼先生

その状態こそ、次回学ぶ「力のつり合い」じゃ!

波多野さん
波多野さん

よーし、もっと強く引っ張るぞ~。

光井くん
光井くん

あ、そんなに引っ張ったら……。

黒沼先生
黒沼先生

ぐあぁぁぁぁ!!

タイトルとURLをコピーしました