第12回 力の正体① 力とは何か

第2章 力の正体
黒沼先生
黒沼先生

黒沼 電蔵
物理の教鞭をとっている
変なひと

波多野さん
波多野さん

波多野さん
勉強が苦手な女の子
愛嬌がある   

光井 くん
光井 くん

光井くん
勉強が得意な男の子
まじめ

はじめに

波多野さん
波多野さん

よいしょ、よいしょ……。

光井くん
光井くん

さっきから何をしているんだい?

波多野さん
波多野さん

この机を少しだけ動かしたいんだけど、全然動かないの。

光井くん
光井くん

重そうだね。手伝うよ。

黒沼先生
黒沼先生

どけぃ、小僧。わしに任せたまえ。

波多野さん
波多野さん

肩は大丈夫なの?

黒沼先生
黒沼先生

もちろんじゃ。この程度の机なら、指一本で十分じゃよ。
ふおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

光井くん
光井くん

全然動いてないですね。

波多野さん
波多野さん

せんせい、力、全然ないんじゃない?

黒沼先生
黒沼先生

失礼な! ちゃんと力は加えておる!

波多野さん
波多野さん

でも、動いてないじゃん。

黒沼先生
黒沼先生

物体に力がはたらいていても、必ず動くとは限らないの!! はぁはぁ。
そもそも、「力」とは何なのか。そこから教える必要がありそうじゃの。はぁはぁ。

光井くん
光井くん

大丈夫ですか?

黒沼先生
黒沼先生

あー、だめじゃ。くらくらする。
ちょっと、座っていい?

力とは何か

黒沼先生
黒沼先生

机の上にあるボールを押すと、どうなるかな?

波多野さん
波多野さん

転がるよ。

黒沼先生
黒沼先生

では、転がっているボールを横から押したら?

光井くん
光井くん

進む向きが変わりますね。

黒沼先生
黒沼先生

その通りじゃ。物体に力がはたらくと、物体の運動の状態が変化することがある。
たとえば、次のような変化じゃ。

  • 止まっている物体が動き始める
  • 動いている物体が速くなる
  • 動いている物体が遅くなる
  • 物体の進む向きが変わる
波多野さん
波多野さん

なんとなく、イメージできるよ。

黒沼先生
黒沼先生

次に、スポンジを手で押すとどうなるかな?

波多野さん
波多野さん

へこむ。

黒沼先生
黒沼先生

ばねを引っ張れば?

波多野さん
波多野さん

のびる。

黒沼先生
黒沼先生

そうじゃの。力には物体の形を変えるはたらきもある。
物体に力がはたらいたからといって、必ず動くとは限らんのじゃ。

波多野さん
波多野さん

左のボールは動き始めて、右のスポンジは形が変わっているね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。力の主なはたらきは、次の2つに整理できるのじゃ。

  • 物体の運動の状態を変える
  • 物体の形を変える

力の大きさと向き

黒沼先生
黒沼先生

同じボールでも、軽く押したときと強く押したときでは、動き方が違うじゃろう?

波多野さん
波多野さん

強く押したほうが、勢いよく動くね。

黒沼先生
黒沼先生

では、右向きに押した場合と左向きに押した場合は?

波多野さん
波多野さん

進む向きが変わる。

光井くん
光井くん

つまり、力には大きさと向きがあるということですね。

黒沼先生
黒沼先生

その通り。力は、速度や変位と同じベクトル量じゃ。
そのため、力は矢印を使って表す。

黒沼先生
黒沼先生

力を表す矢印には、3つの大切な意味がある。

・矢印の始点:力の作用点(物体に力がはたらいている点)
・矢印の向き:力の向き
・矢印の長さ:力の大きさ

光井くん
光井くん

力を矢印で描くときは、大きさと向きだけでなく、どこにはたらいているかも考えるわけですね。

力の単位

黒沼先生
黒沼先生

力の大きさは、ニュートンという単位で表す。単位の記号は \(\mathrm{N}\) じゃ。

波多野さん
波多野さん

ニュートンって、人の名前じゃなかった?
りんごの人。

黒沼先生
黒沼先生

イギリスの科学者、アイザック・ニュートンに由来しておる。

光井くん
光井くん

重力加速度が\(9.8m/s^2\)なので、\(1\ \mathrm{N}\) は、0.1 kgの物体にはたらく重力と同じくらいの大きさですね。

波多野さん
波多野さん

それなら、なんとなく大きさを想像できそう。

黒沼先生
黒沼先生

ただし、質量と力は別の物理量じゃ。単位を混同しないように注意するのじゃぞ。

  • 質量の単位:\(\mathrm{kg}\)
  • 力の単位:\(\mathrm{N}\)
波多野さん
波多野さん

質量と力は違うものなんだね。

いろいろな力を見てみよう

黒沼先生
黒沼先生

高校物理では、さまざまな力が登場する。まずは、どのような力があるのかを見てみよう。
物体の動きと矢印の向きに注目するのじゃ。

波多野さん
波多野さん

リンゴが落ちたり、箱が止まったり、ばねが揺れたりしているよ。
思っていたより、いろんな種類があるんだね。

黒沼先生
黒沼先生

この6つが、高校の力学で扱う代表的な力じゃよ。

触れてはたらく力と、離れてはたらく力

光井くん
光井くん

力のはたらき方によっても分けられそうですね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。力は、大きく次の2種類に分けられる。
触れてはたらく力と離れてはたらく力じゃ。

黒沼先生
黒沼先生

離れてはたらく力には、重力、磁石による力、電気の力があるぞ。

波多野さん
波多野さん

空中を飛んでいるボールにも、地球と触れていないのに重力がはたらいていたね。

黒沼先生
黒沼先生

その通りじゃ。

動いてなくとも力ははたらく?

波多野さん
波多野さん

最初に先生が机を動かそうとしてたけど、動かなかったよね。

黒沼先生
黒沼先生

うむ。
力ははたらいていても、反対向きに別の力がはたらいていることがある。
それらの力が互いの効果を打ち消し合えば、物体の運動の状態は変化しないのじゃ。

光井くん
光井くん

止まっている物体でも、複数の力がつり合っていることがあるということですね。

波多野さん
波多野さん

反対に、力がつり合っていなければ、運動の状態が変化するんだね。

力を見つけるには

黒沼先生
黒沼先生

物体にはたらく力を考えるときは、次の順番で整理するとよい。

  1. 注目する物体を一つ決める
  2. その物体の周囲に何があるか確認する
  3. 何が物体に力を加えているか考える
  4. 力の向きと作用点を矢印で表す
波多野さん
波多野さん

最初に、どの物体について考えるのかを決めるんだね。

黒沼先生
黒沼先生

そこが曖昧だと、別の物体にはたらく力まで一緒に描いてしまうからの。

今日のまとめ

黒沼先生
黒沼先生

今日のポイントを整理しておこう。

  • 力には、物体の運動の状態や形を変えるはたらきがある
  • 力には大きさと向きがある
  • 力は矢印を使って表す
  • 矢印の向きは力の向き、長さは力の大きさ、始点は作用点を表す
  • 力の単位はニュートンで、記号は \(\mathrm{N}\)
  • 触れてはたらく力と、離れてはたらく力がある
  • 物体が動いていなくても、力がはたらいている場合がある
波多野さん
波多野さん

目には見えない力も、矢印を使えば見えるようになるんだね。

次回 力の合成と分解

黒沼先生
黒沼先生

複数の力を、同じはたらきをする1つの力にまとめることを力の合成というのじゃ。

波多野さん
波多野さん

へ~。

黒沼先生
黒沼先生

今こそ、わしと波多野さんのラブパワーを1つに合成するとき!!
今こそ!!
ふぉぉぉぉぉぉぉぉ。

光井くん
光井くん

……。

黒沼先生
黒沼先生

あ…。
ちなみに、1つの力を2つ以上に分けることを力の分解という。

黒沼先生
黒沼先生

わしと波多野さんの間に入り込む光井くんを、ここから分解するとしよう。

光井くん
光井くん

さっきから1人で何言ってんですか!

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